【リヨン(フランス)2022年5月3日PR Newswire=共同通信JBN】より重度の脳卒中と卒中後の不十分な回復に関係のある腸內細菌株を新たな研究が特定し、腸內細菌叢が脳卒中の危険性と予後の重要な要素であり得ることを明らかにした。
European Stroke Organisation(歐州脳卒中機構、ESO)會議(ESOC 2022)で3日公表されたこの研究は、虛血性脳卒中からの急性期(24時間)とその後3カ月のいずれにおいても神経機能の回復の遅れに関係する具體的な細菌群を特定した。
虛血性脳卒中のリスクと関係があると特定された多様な細菌類には、フゾバクテリウム(紡錘形菌)、ラクトバチルス(乳酸桿菌)も含まれる。Negativibacillus(ネガティビバチルス)とLentisphaeria(レンティスファエリア)は急性期(それぞれ6時間と24時間)により重度の脳卒中と関係があり、Acidaminococcus(アシドアミノコックス)は3カ月後の機能回復の遅れに関係がある。
主執筆者であるスペイン?バルセロナのサンパウ研究所(Sant Pau Research Institute)Stroke Pharmacogenomics and Genetics Laboratory(脳卒中薬理ゲノミクス?遺伝學研究室)のMiquel Lledos博士は「何兆もの細菌と他の微生物から成る腸內細菌叢の影響は、脳卒中のリスクと卒中後の神経機能回復に関係する軽減可能な危険因子である。しかし、大半の研究はこれまで動物モデルでの実施だった」とコメントした。
「今回の研究で、われわれは大便の検體を使った。最初の検體は事後の採取で、虛血性脳卒中を起こした89人のものである。対照群と比べて、より高い虛血性脳卒中のリスクと関係する多様な細菌群を特定できた」
虛血性脳卒中は、血栓または他の閉塞が脳への血流を遮斷して起こり、脳卒中の最も一般的な種類である。歐州では毎年、130萬人が発癥し、2番目に多い死因である。
「この発見により、將來は腸內細菌叢の検査により脳卒中を予防したり、神経機能の回復を改善したりできそうな素晴らしい見通しが開けた。他の病狀では食生活の変更や健康な個人からの大便移植によって、腸內細菌叢を置き換える臨床試験が実施されており、脳卒中の分野でこうした研究がさらに行われるべきだ」